竜田姫
竜田姫(たつたひめ)
煉切
奈良県生駒郡三郷町の西方の山を、漠然と竜田山と呼びます。
近くを流れる竜田川と共に紅葉の名所であり、
「大坂夏の陣」の古戦場の一つでもあります。
この竜田山を神格化したのが、竜田姫です。
竜田山は奈良の都の西にあたり、五行説で西は秋の方角であることから、
竜田姫は秋をつかさどる女神とされています。
春をつかさどる佐保姫同様、男神ではなく女神であり、
姫と呼ばれているのが興味深いですね。
このお菓子は、目の覚めるような紅と黄の煉切に、
流水に紅葉の葉を散らした文様をあしらいました。
この文様は竜田川文(たつたがわもん)といい、古今集の、
「竜田河 紅葉乱れてながるめり わたらば錦 中やたえなむ」
という歌に由来するといわれていて、
和菓子に限らず、様々なものに使われていますね。
また竜田姫は、染色・織物・裁縫の名手ともされています。
これは「竜=裁つ」、「紅葉を真っ赤に染める」、
などが理由でしょうか。

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