桐の花
桐の花(きりのはな)
きんとん
桐は、枝先に筒状・鐘形で淡紫色の花を、
穂のように多数つけ、やや下向きに開きます。
紫は高貴な色とされ、菊とともに皇室の紋章や神紋にも使われました。
紋所は多種あり、例えば三枚の桐の葉の上に、
桐花を中央に五つと左右に三つずつで「五三の桐」、
中央に七つと左右に五つずつで「五七の桐」という具合です。
ちなみに、この「五七の桐」は豊臣家の定紋でもあります。
実用性もあり、古くから各地で栽培されていて、
材は比重0.3以下と日本で最も軽く、伸縮・割裂などの狂いも少ないので、
箪笥(たんす)・琴・下駄・箱などに使われます。
また細胞中の空気が熱を遮断するため耐火性に優れ、金庫にも活用されました。
生長は早く、女の子が生まれた時に植えると、
嫁入り道具の箪笥用材になるといわれています。
木屑は焼いて炭を懐炉灰に用い(カイロの会社名にもなっています)、
樹皮は染料、葉は除虫にと、日本人の生活には欠かせない植物です。

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