一枝
一枝(ひとえだ)
薯蕷
白い薯蕷生地に、淡紅色の生地を裏打ちしてほんのりと透けるようにし、
そこに焼きゴテで描いたのが、桜の一枝です。
直接的な表現ではありますが、非常に簡略化されていて、
一見しただけでは何を表しているのか、なかなかわかりにくいと思います。
勿論、一目で全てを理解できる方もいらっしゃいますし、
菓名を聞いて初めて納得される方もいれば、
それでもなお腑に落ちない、という方も中にはいらっしゃいます。
この辺のさじ加減が難しいところで、
あまりにストレートな表現の仕方では面白みに欠けますし、
難解すぎては、菓子屋の単なる自己満足で終わってしまいます。
形を菓名で補って、平易な形には遠回しな名前を、
少し首をひねるような物には、そのものズバリの響きをつけて釣り合いをとり、
更に全体的にも、わかり易い物と少し挑戦的な物とを取り混ぜて、
トータルバランスも取るようにしています。

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