朝の露
朝の露(あさのつゆ)
煉切
夏の茶花、朝顔です。錦玉の朝露を含ませました。
遣唐使により、元々は薬草として中国から伝わったそうですが、
早朝に咲く清楚な花は日本人の好みに合い、夏の風物詩の一つとなりました。
昼前にはしおれてしまう朝露のようにはかない命ゆえに、
「桜」にも通じる日本人独自の美意識を見出したのでしょう。
安土桃山時代のある夏の日、
豊臣秀吉が、評判となった朝顔を愛でるために、千利休に茶を所望しました。
その朝、利休は庭の朝顔を全て摘み取り、
数寄屋の床の、たった一輪の朝顔で迎えたそうです。
この、世にいう「朝顔の茶会」で、
利休は美の極致と侘び茶の神髄を示したということです。

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