落とし文
落とし文(おとしぶみ)
煉切
初夏の山道、筒状に丸められた葉が落ちている事があります。
巻いた手紙の形に似ているので、
「時鳥(ホトトギス)の落とし文」とか、「鶯(ウグイス)の落とし文」とよばれました。
実は、このことから「オトシブミ」と名付けられた昆虫が、
栗や桜、楢、樺などの広葉樹の葉を巻いて中に巣を作り、卵を産み付けているのです。
孵化した幼虫はこの葉を食べて育つので、
この巣のことを「落とし文の揺籃(ようらん・ゆりかご)」といいます。
その姿から小鳥の恋文まで想いを巡らせた先人の発想には、感心させられます。

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