ばら
ばら(薔薇)
煉切
薔薇ほど、世界中で愛された花はないかもしれません。
ギリシャ神話では、海の神が創りあげたヴィーナス=アフロディーテに対し、
陸の神は薔薇を空から降らせ、美しさを競い合ったとされています。
古代エジプト王朝のクレオパトラ、古代ローマ帝国の皇帝ネロ、
ルイ16世王妃マリー・アントワネット、ナポレオン・ボナパルト婦人のジョゼフィーヌ。
それぞれ寝室に薔薇の花びらを敷き詰めたり、薔薇水やローズオイルを愛用、
季節はずれには、温暖なアフリカなどから取り寄せたりもしたそうです。
数々のエピソードに飾られ、シェークスピアの作品にも度々登場するこの花は、
「ベルばら」のように西洋の花というイメージがありますが、
日本にも、「野茨(のいばら)」など野生種が多く自生し、
「しょうび・そうび」とも呼ばれています。
「美しい薔薇には…」とよくいわれますが、
優美で華麗な姿、甘く上品な香りの裏返しに、
とげがあるという事も、実は魅力の一つかもしれません。

トップ > 和菓子歳時記 > 平成13年皐月 > ばら