若桜
若桜(わかざくら)
煉切
桜の若木である若桜に咲く花一輪を、煉切でストレートに表現しています。
本来のお茶席では、ここまでの直接表現は避けられる傾向にあるのですが、
外国の方をおもてなしするというお客様の多くが、
毎年当店で作っているこのお菓子をご指定下さいます。
わが国を代表する花ですし、
あまり日本の文化に明るくない方にもわかりやすい形だからでしょう。
国際交流に、僅かながらも貢献できる事を、誇りに思っています。
けれども、これはあくまでも個人的な意見ですが、
欧米の方にこそ抽象的な形のお菓子を、と思う時があります。
日本人には特有の、
「全てを表に出さない」「曖昧な物言い」「一を聞いて十を知る」「推して知るべし」「言わずもがな」
というところがあります。
政治や経済の国際舞台では通用しないでしょうが、
せめてお茶席ぐらいでは許してもらって、
日本人の考え方を育んできた文化、日本人のものの捉え方、おくゆかしさ、
というものに、少しの時間だけでも触れて貰って、
互いに理解しあえる手助けになれば…と思ったりします。

トップ > 和菓子歳時記 > 平成13年弥生 > 若桜