少し前の話になりますが、
鳴門教育大学に、南アフリカ共和国から10名近くの方がいらっしゃっていました。
「理数科教員養成者研修」というもので、
数学・理科の先生を指導する方のための研修だということでした。
このとき、化学を担当なさった喜多理学博士と、その研究室の方々が、
南アフリカの方達に食べさせてあげたいと、和菓子のご注文を下さいました。
で、そのリクエスト内容が、「南アフリカの国旗を模したものを」ということでした。
当サイトにもあるように、和菓子で花鳥風月などを表現することは常ですが、
国旗をモチーフにするのは初めての事で、
しかも、南ア国旗は日の丸などと違って、色数が多く、少々複雑です。
どうしたものかと戸惑いながらも、煉切で作ってみたのがこれです。
結果、とても喜んでもらえて、写真まで送って下さった上に、
研修の送別会の時にも、再度ご注文いただきました。
「果たして国旗を食べてしまっても善いものだろうか…」
という研究室の方々の懸念も杞憂に終わり、私もホッとしています。
お菓子というものが、
人と人とのコミュニケーションの、潤滑油的な役割を果たすことができれば、
これ以上のことはありません。
一個のお菓子から会話が弾み、
しかも、和やかな雰囲気を残しつつ、お菓子自体は食べれば消えてなくなってしまい、
今度は、その人の身となってゆく…。
そういうところに、私は菓子屋としての誇りを感じるのです。
平成14年1月10日
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