「卵・乳製品を使っていないお菓子はどれ?」
お客様に、よく聞かれる様になりました。
アトピーなどアレルギーでお悩みの方、そういうご家族をお持ちの方は、
材料だけでなく、添加物にも気を配っておられます。
「何で作られているのか」「何が入っているのか」
とても大切な事だと思います。
最近では、原料メーカーが色々と研究して、菓子屋向けに「〇〇の素」を開発し、
誰でも簡単にお菓子を作る事ができるようになりました。
そのこと自体は良い事だと思いますが、
製造する側や商品管理をする側の、努力が必要とされなくなってきているのも事実です。
「〇〇の素」の構成を見てみると、パッと聞いただけでは意味がわからない正体不明のものや、
あまりお客様には教えたくないような添加物が、沢山入っています。
「天然素材」「自然から抽出」といったうたい文句でごまかしていますが、
天然・自然でも体に悪いものはいっぱいあります。
勿論、新しいもの全てを否定するつもりはありませんが、一つ一つ調べてみると、結局はほとんどが、
「硬くなりにくい」「カビが生えにくい」「冷凍保存が利く」「作る時にコツを必要としない」
といった製造・販売する側が
「楽をするため」「手抜きのため」「機械で大量生産するため」「技術・経験・知識を不要にするため」
のものばかりです。
何日たってもカビも生えないような生菓子、一週間置いておいても硬くならないお餅を、
私は食べたいとは思いません。
それでも美味しければ、まだ救いはあるのですが、実際に試作して食べてみても…。
「当店製品は全て無添加」などと嘘を言うつもりはありません。
例えば着色料。
抹茶や小豆などをできる限り活用し、必要最小限度にしてはいますが、
当サイトで公開している上生菓子にも使っています。
「必要悪だ」などと開き直る気は全くありませんが、
淡いほのかなピンクで春を感じたり、朱と黄に秋の紅葉を連想する、
といった日本人の色彩感覚と季節感との結びつきを、大事にしたいと思っています。
着色料を一切使わないお菓子ばかりだと、
店頭に並んだものを見たり、菓子箱のふたを開けた瞬間のワクワクした気分、
さあこれからお菓子を食べよう、という時のウキウキ感が少なくなるような気がします。
矛盾するようですが、本当は、
「材料が、添加物が」と眉間にしわをよせて食べても、お菓子は美味しくありません。
本来、こういったことは全て、お菓子を作り、提供する側の事情であり、モラルです。
ですから、お客様が余計な心配をしなくていいように、
せっかくのお菓子を、美味しく召し上がっていただけるように、
菓子屋としての誇りをかけて、本物のお菓子を作り、
尋ねられたことには、正直に答えるしかないと思っています。
当店で最も大切に考えている基本。
それは冒頭のお客様と一緒です。
「自分の子供にも安心して食べさせられるお菓子」
これからも作り続けていきたいと思っています。
平成13年5月10日
ご意見、ご感想、ご質問等、お待ちしております。
又、よろしければ下記フォームにても、賜りたいと思います。
是非お寄せ下さい。よろしくお願い致します。
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